玄関のドアに貼られていた張り紙を見た時、最初に感じたのは怒りではなく戸惑いだった。
「なぜ今なのだろう」
それが一番大きかった。
問題になっているのは、我が家の玄関近くに植えてある木だった。
この木は、家を建てた頃からずっとそこにある。
気づけば20年以上。
春には新しい葉が出て、夏には日差しを遮ってくれる。
私にとっては、ただの庭木ではなく、家と一緒に年月を重ねてきた存在だった。
もちろん、植物なので成長する。
植えた当時より大きくなっているのは事実だ。
でも、今まで隣人から何か言われたことは一度もなかった。
ところが今回、突然玄関に張り紙があった。
内容は、
「以前からお願いしている玄関前の木について、現在も見通しが大変悪く、車を出す際に非常に危険な状況が続いています」
というものだった。
さらに、
「木を剪定・伐採していただけないか」
「難しい場合はこちらで切らせてもらうことも考えています」
とも書かれていた。
私は何度も読み返した。
もちろん、安全面への心配という気持ちは分かる。
道路を通る人や車が危険になるなら、対応を考える必要はある。
でも、引っかかったのは別の部分だった。
「以前からお願いしている」
という言葉。
私の記憶では、正式に何度も話し合った覚えはない。
少なくとも、今回のような張り紙を貼られるほどの話は聞いていなかった。
私は外へ出て、実際に木の位置を確認した。
木は確かに大きい。
でも、植えてあるのは自分の敷地内。
道路へ大きく飛び出しているわけでもない。
そこで、ふと思った。
もしかして、状況が変わったのではないか。
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