高速バスが、休憩のためサービスエリアへ入った。
長時間同じ姿勢で座っていた私は、ようやく伸びができると安心した。
ところが、ドアが開く直前。
運転手がマイクを握り、少し困ったような声で言った。
「お客様にご案内いたします」
「隣にも、当社と同じカラーリングのバスが停車しております」
車内の視線が窓の外へ向く。
確かにいた。
白と青を基調にした、ほとんど同じ外観の高速バス。
しかも運転手は、さらに続けた。
「行き先も同じですので、お戻りの際は乗り間違いにご注意ください」
私は思わず笑った。
色が同じ。
会社も同じ。
行き先まで同じ。
それなら何を見て判断すればいいのか。
運転手も、その疑問を察したようだった。
「車両番号やナンバーをご確認ください」
なるほど。
ナンバーなら間違えない。
私は降りる時に、自分が乗ってきたバスのナンバーを確認することにした。
前方へ回り込む。
表示されていた数字は、
「12-76」
よし。
十二、七十六。
頭の中で何度も繰り返した。
「12-76。12-76」
これさえ覚えておけば大丈夫だ。
私は安心して売店へ向かった。
コーヒーを買い、トイレを済ませ、少しだけ外の空気を吸った。
集合時間までは、まだ余裕がある。
それでも乗り遅れたくないので、早めに駐車場へ戻った。
すると、二台のバスが並んでいた。
やはり似ている。
正面から見れば、ほとんど双子だった。
私は自信満々にナンバーを見た。
右側のバス。
「12-67」
一瞬、脳が止まった。
十二、六十七。
私が覚えているのは、
十二、七十六。
数字は同じ。
順番だけが逆。
「いや、そこまで似せなくていいだろ……」
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