義母に貯金額を聞かれた時、本当は答える必要などなかった。
それでも私は、長年見下され続けた苛立ちから口にしてしまった。
「3000万円あります」
義母は目を丸くした。
私はすぐに後悔した。
夫の浩司は結婚後も独身時代のように飲み歩き、家庭にはほとんど寄りつかない。
義母も私の勤務先へ何度も現れ、食事や900円のケーキまで注文して代金を払おうとしなかった。
そんな人に大金の存在を知られた。
翌日、嫌な予感は現実になった。
仕事中に義母らしき姿を店の外で見かけ、急いで帰宅すると部屋が荒らされていた。
そしてテーブルには、
「あんたに渡す金はない。厚かましい女とは絶縁」
と書かれた手紙。
確認すると、夫の通帳3冊と印鑑がなくなっていた。
約1時間後、義母から何度も電話が入った。
「この通帳、どうなってるのよ!」
義母は金を引き出そうとしたらしい。
だが3冊とも、期待していた3000万円など入っていなかった。
むしろ残高はマイナスだった。
「借金ってこと? あんたが盗んだんでしょ!」
私は呆れて答えた。
「盗んだのはお母さんですよね」
そして、ようやく説明した。
3000万円が入っているのは、夫の通帳ではない。
私自身の通帳だ。
そのお金は、結婚前に亡くなった両親が私へ残してくれたものだった。
私はいつか自分の店を持ちたいと思っていた。
両親も生前、その夢を応援してくれていた。
ところが義母は、事情を聞いても態度を変えなかった。
「だったら浩司の借金を返してあげればいいじゃない」
さらに夫まで、
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