私は香織、40代の専業主婦。
最近、いちばんつらかったのは中学2年の息子・爽太の言葉だった。
「専業主婦って、働けない人がなるんでしょ?」
「掃除も洗濯も機械がやってくれるのに、何が大変なの?」
最初は反抗期だと思って我慢した。
でも次第に、
「ニート」
「寄生虫」
「役立たず」
という言葉まで飛んでくるようになった。
夫の修司に相談しても、
「その年頃なら普通だろ」
と取り合わない。
それどころか夫自身も、
「家事なんて資格がなくてもできる」
「俺が稼いでるから生活できるんだろ」
と笑った。
私が働こうとすると、
「家のことがおろそかになるなら働かなくていい」
と言う。
つまり、家事は全部私がやるのが当然だった。
それでも私は家族だからと耐えていた。
そんなある休日。
3人分の買い物を抱えて帰宅すると、リビングから夫と爽太の声が聞こえた。
「母さんには内緒だぞ」
私は玄関で足を止めた。
夫には20代の女性との関係があるらしい。
しかも爽太はそれを知っていた。
「父さんやるじゃん」
楽しそうに笑っていた。
さらに夫が、
「母さんとは別れる気ないよ。家政婦を雇ったら金かかるからな」
と言った。
爽太も、
「口うるさいババアだけ何とかしてよ」
と返した。
私はそのまま家を出た。
近所の公園のベンチに座っても、不思議と涙は出なかった。
悲しいというより、もう何も感じなくなっていた。
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