玄関のドアを開けた瞬間、私は言葉を失った。
そこに立っていたのは、本来なら新しい家で幸せな時間を過ごしているはずの母だった。
「お母さん……どうしたの? 今日は引っ越しの日でしょう?」
母はうつむいたまま、しばらく何も答えなかった。
いつも明るく笑う母が、こんなにも小さく見えたのは初めてだった。
「叶え……ごめんね」
震える声で母が口にした言葉は、信じられないものだった。
「私……追い出されちゃったの」
「え……?」
私は耳を疑った。
今日は、兄の壮太と兄嫁のみささん、そして母が暮らすために建て直した実家の完成日だった。
半年前、兄が突然提案した同居話。
「母さん、俺たちと一緒に暮らさないか」
父を六年前に亡くし、一人で暮らしていた母を心配した兄の言葉だった。
最初は母も戸惑っていた。
「でも、壮太にはみささんがいるでしょう?」
すると兄は優しく笑った。
「大丈夫だよ。みさも賛成してくれてる」
その言葉を聞いて、私は安心した。
兄嫁のみささんも母との同居を歓迎していると思っていたからだ。
老朽化した実家を建て直し、そこに兄夫婦と母が一緒に暮らす。
母も少しだけ費用を援助し、家族みんなが幸せになれる未来を想像していた。
引っ越し当日の朝、母から電話があった。
「叶え、今日はね……本当に楽しみなの」
「そんなに楽しみだったの?」
「だって、自分の子供と一緒に暮らせるのよ。それに新しい家でしょう? こんな幸せでいいのかしらって思うくらい」
母の嬉しそうな声を聞いて、私まで温かい気持ちになった。
しかし数時間後。
その幸せは、一瞬で壊された。
母が新居へ到着すると、待っていたみささんは冷たい表情で言ったという。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=3Y6z2wYFK1A,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]