「俺は、子ども部屋おじさんなんかじゃない。親孝行な独身貴族だ」
工藤誠、四十五歳。都内の商社に勤める会社員である。大学も職場も実家から通える距離だったため、一度も家を出ることなく、今も母の作る朝食を食べ、洗濯されたシャツを着て出勤していた。
毎月五万円を家に入れている。それだけで誠は、自分を十分に立派な大人だと思っていた。
高齢の両親も、自分がそばにいて安心しているに違いない。世間が何と言おうと、彼の中ではそう結論が出ていた。
結婚も、できないのではない。しようと思えば、いつでもできる。ただ、釣り合う女性がいなかっただけだ。誠は鏡に映る自分を見つめ、まだ若い、まだ十分いける、と毎朝のように確かめていた。
そんなある日、高校の同窓会の案内が届いた。会場に行くと、かつての友人たちは皆、見事に中年になっていた。腹の出た男、白髪の混じった男、疲れた顔の女たち。誠は心の中で笑った。
「お前らはおっさん。俺はまだ若王子だ」
しかし、友人たちがスマホで子どもの写真を見せ合い始めた瞬間、誠の胸の奥に小さな焦りが生まれた。
娘の反抗期を嘆く友人も、息子の進学を語る友人も、どこか誇らしげだった。
帰宅した誠は、すぐに婚活アプリへ登録した。プロフィールには自信たっぷりにこう書いた。
「子どもが欲しい女性募集。似ている芸能人はジョニー・デップ。家事は得意ではないので、すべてお願いしたいです。実家暮らしで母もいるので、多少は楽ができると思います」
本人は完璧な条件だと思っていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=lhkA66jVcAo&t=25s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]