
俺は妹の結婚式に、ある理由で出席を拒否されていた。妹は「相手には美男美女が多いのに、お兄ちゃんみたいなブサイク出したらどう思われるか分からない」と言い、出席を断ってきた。
親が出席を勧めても「もう相手には兄は死んだことにしてあるから無理」と返事をされ、最終的に親もその言葉を聞いて了承してしまった。
当日は、携帯の電源を切り、家から300キロほど離れたサービスエリアでバイクを降りて携帯を確認した。すると、親戚や親、妹からかなりの数のメールが入っていた。その内容を確認すると、どうやら披露宴で親戚が俺が来ていないことを妹に尋ね、隣にいた新郎に「それ、誰?」と聞かれた妹が言葉を濁したことがきっかけだったらしい。新郎の親戚が冗談で「二股かけてる男なんじゃないの」と言ったのを、新郎の父が大声で反応し、「二股をかけているような女なんぞいるかぁ!」と叫んだ。
その後、披露宴は非常に殺伐とした空気で進行し、最終的に妹とその旦那は二次会に移動したが、双方の両親と親戚がホテルの一室に集まり、今後のことを話し合っているとのことだった。
俺は仕方なく親に連絡し、親は戻ってきて相手方に説明してくれと言ったが、妹の行動に半ば切れていた俺は、こう言った。
「こんな理由で出席を拒否されて、親戚にも根回ししていなかったあなたたちのミスでしょ。
結婚相談サービスを利用したって、それを今更戻ってこいって言われても無理だし、どうなろうと知ったことじゃないし、俺は死んだことになってるんでしょ?なんで親戚にもそう言って押し通さなかったの?ってことで無理!じゃ!」
電話を切り、タンクバッグの一番奥に携帯を突っ込み、ツーリングを再開した。結局、家に帰ったのは三日後のことだった。
その後、親から話を聞いたが、妹はすべてを新郎に話したらしい。妹が「兄弟を殺す」という話をしたため、新郎側は破談を決意。結婚式・披露宴代もこちらが支払うことになり、妹は引きこもってしまった。仕方なく、俺が相手方の家に出向き、妹の非礼と非常識な行動を謝罪し、破談を解消してもらうことになった。
ちなみに、俺は会社で長期休暇を取っていたが、この一連の出来事に対しては、冷静に見ていられる余裕はなかった。