2024年1月放送のABCテレビ『探偵ナイトスクープ』で、一つの依頼が大きな反響を呼んだ。依頼者は小学6年生の少年。「1日だけでいいから次男になりたい」という言葉から番組は始まった。
共働きの両親に代わり、5人のきょうだいの世話を一人で担う生活。料理、洗濯、おむつ替え、寝かしつけ。
少年は当たり前のように家事をこなしていた。いわゆる“ヤングケアラー”の姿に、多くの視聴者が胸を締めつけられた。
探偵はその日、すべての家事を引き受け、少年が外でバスケットボールを楽しめる時間を作った。そして抱きしめながらこう伝えた。「お前はまだ小学生や。大人にならんでええ」
その温かい場面に、救われた気持ちになった人も多かったはずだ。しかし、VTRの最後、探偵が帰った直後に流れた声が空気を一変させた。
「米炊いて!7合!」
少年が再び台所へ向かう姿で映像は終わった。この一瞬が「令和の闇だ」とネットで拡散され、心を痛めた視聴者の声が相次いだ。
だが放送後、ABCテレビは声明を発表した。
「次男になりたい」という表現は放送用に構成・改稿したものであり、「米炊いて!7合!」の音声は演出として付け足したものだと説明した。
つまり、感動の流れと最後の“現実の重み”を印象づけた場面には、番組側の構成意図が含まれていたことになる。
それでも、画面に映っていた少年の姿が軽くなるわけではない。家事を担う子どもが存在する現実もまた、確かに社会にある。
私たちは何を見せられていたのか。
救いの瞬間か、それとも演出の力か。
あの一声を聞いたときの胸の冷たさだけが、今も残っている。
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