日本では、多くの学生が大学進学のために奨学金を利用しています。しかし、その実態は「給付」ではなく、将来返済義務を負う借金である場合が少なくありません。日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金を利用した学生の多くは、卒業後も10年、20年とかけて返済を続けています。社会に出た直後から返済が始まり、結婚や子育て、住宅購入に影響を及ぼすケースも珍しくありません。

一方で、近年話題となっているのが、博士課程の学生などを対象とした高額な給付型支援制度です。代表的なものに「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」があり、条件を満たした学生には年間最大240万円程度の生活費支援が給付されます。これは返済不要の支援です。
ここで多くの人が疑問に感じるのは、「なぜ返済義務のある奨学金を日本人学生が背負い、一方で返済不要の支援が出る制度が存在するのか」という点でしょう。
まず整理しておくべき事実として、この240万円が「すべての留学生に無条件で支給されている」わけではありません。SPRINGなどの制度は、研究計画や学業成績などの審査を経て採択されるもので、日本人学生も対象に含まれています。ただし、制度の性質上、博士課程に在籍する留学生が多く採択されている大学や分野があるのも事実です。
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