23歳で娘を産んだが、夫は私のしつけをことごとく邪魔した。「食事中は座って」と注意しても、「まだマナーなんて分からないんだし、自由にさせよう」と甘やかすばかり。当然、娘は夫に懐き、私を敵視するようになった。
娘が小学6年生の時、万引きで捕まった。私が叱ると、娘は謝るどころか口笛を吹き、夫に告げ口。
夫は私に激怒した。自分で産んだ娘なのに、その日から全く可愛いと思えなくなった。私は離婚と親権放棄を申し出た。娘は父親との生活を喜び、私には憎しみのこもった目を向けた。

私は上京し、再婚。翌年、娘を授かった。夫婦で同じ価値観の子育ては幸せだった。
再婚して十数年後、突然元娘が訪ねてきた。父親が亡くなり、生活に困窮しているという。
変わり果てた姿に驚いたが、私は冷静に今の娘の写真を見せた。「流れる血の半分の差で随分違うね。お金が欲しいなら、その前に言うことがあるでしょ?」
元娘は私を睨みつけ、黙って帰っていった。
半年後、元娘が自ら命を絶ったと連絡があった。
「離婚しても母親なんだから始末しろ」と言われたが、私は葬儀をせず、元夫の遺骨と共に送骨した。
大切な今の娘に、将来の不安がなくなり、心から安堵している。