「陣痛が始まったら、私に連絡して。病院まで車で送ってあげるから」
義母は、そう言って何度も念を押してきた。
私はありがたい気持ちより、不安のほうが大きかった。
「ありがとうございます。でも、陣痛タクシーには登録してありますから、大丈夫です」
「そんな得体の知れないタクシーに乗る必要なんてないでしょう。大事な初孫が生まれるのよ。
私が送ってあげるわ」
しかし、義母は先月、車をガードレールに擦る事故を起こしていた。さらに、その年だけで家の鍵を三回もなくしている。
「そろそろ免許を返納してもいいんじゃないですか?」
そう言うと、義母は激怒した。
「私はまだ六十二歳よ! 年寄り扱いしないで!」
そして最後には、こう言い放った。
「陣痛タクシーを使ったら許さないから」
なぜそこまで自分で送ることに執着するのか。
今思えば、答えは単純だった。
「孫に、おばあちゃんが病院まで連れていったって言いたいのよ」
私は苦笑した。
「では、何十年先までも語り継ぎますから、今回は勘弁してください」
それでも義母は譲らなかった。
予定日の前日、ついに陣痛が始まった。
まだ十五分間隔だったが、不安だった私は陣痛タクシーを呼んだ。ところが、家の前に停まったタクシーを見た義母は、勝手に運転手と話をし、私を車に乗せた。
「今日は近くで大きなコンサートがあるの。タクシーなんて捕まらなくなるかもしれないでしょう。早く乗りなさい」
私は仕方なく義母の車に乗った。
「安全運転でお願いします」
「任せなさい。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=hBkrV1Dtv_8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]