電車に乗った瞬間、目の前の席がぽっかり空いていた。
「お、ラッキー」
そう思って腰を下ろそうとした、その時だった。
突然、後ろからドンッと押し出され、俺の横をすり抜けるようにして、ひとりの男がその席に座った。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
「は? なんだこいつ……」
思わず心の中で毒づいた。
男は俺にぶつかったくせに、謝るどころか、こちらを見ることすらしない。
周りの乗客もその様子を見ていて、明らかに白い目を向けていた。
けれど男は気にする様子もなく、顔を下げたまま座席に沈み込んでいた。
正直、めちゃくちゃ腹が立った。
でも、俺は小さく息を吐いて気持ちを押し込めた。
今日は大事な日だった。
これから、みさちゃんとデートだったからだ。
元カノに浮気されてから、俺は恋愛に対してずっと臆病になっていた。
誰かを信じるのが怖くて、また裏切られるんじゃないかと、いつも心のどこかで身構えていた。
そんな俺に、みさちゃんは何度も優しく寄り添ってくれた。
焦らなくていいよ。
無理しなくていいよ。
そう言ってくれる彼女の存在が、俺にとってどれほど大きかったか分からない。
だから今日は、絶対に楽しい日にしたかった。
変な男に席を奪われたくらいで、気分を台無しにしたくなかった。
「まあいいや。こんなことでイライラしても仕方ない」
そう思いながら、俺は吊り革につかまって電車に揺られていた。
ところが、しばらくして異変が起きた。
さっき俺の席を奪った男が、突然こちらに向かって倒れ込んできたのだ。
「おい、なんだよ!」
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Ia0M5CYxYI4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]