土に水をかけると生まれてくる魚とは?
乾いた土に水をかけると、まるで眠っていた命が目を覚ますように、小さな魚が現れる。
そんな話を聞けば、多くの人は「作り話だ」と思うだろう。魚といえば水の中で生きるもの。土の中から生まれてくるなど、常識では考えにくい。
しかし、アフリカには本当にそのような不思議な魚が存在する。
その名は、ノソブランキウス。
色鮮やかな体を持つ卵生メダカの仲間で、見る角度によって赤や青、金色にも輝く姿から、熱帯魚愛好家の間では「泳ぐ宝石」と呼ばれることもある。
だが、この魚の本当のすごさは美しさではない。
命のつなぎ方にある。
ノソブランキウスが暮らすのは、東アフリカのサバンナ地帯。そこには雨季になると水がたまり、湖や池のようになる場所がある。けれど、それは一年中続く安定した水辺ではない。乾季が来れば、水は容赦なく干上がり、昨日まで泳いでいた場所はひび割れた泥の大地へと変わってしまう。
普通の魚なら、そこで終わりだ。
水が消えれば、泳ぐ場所も呼吸する場所も失われる。親魚たちは、短い命を終えるしかない。
ところがノソブランキウスは、その過酷な運命をただ受け入れているわけではない。
水がまだ残っている間に、彼らは泥の中へ卵を産みつける。やがて池が干上がり、親魚の姿が消えても、卵だけは乾いた土の中でじっと耐え続ける。まるで小さなタイムカプセルのように、次の雨を待つのだ。
そして数か月後。
再び雨が降り、乾いた大地に水たまりが戻ってくる。
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