
深夜二時、霞が関の防衛省に、静かだがただならぬ緊張が走った。
臨時に設けられた会見場に姿を見せた防衛大臣は、冒頭からこう切り出した――日本の航空自衛隊戦闘機が、日本近海上空で中国軍戦闘機から「射撃用レーダー照射」を受けた、と。
この一報を、冷静な口調で、しかし明らかな危機感をにじませながら解きほぐしていったのが、高岡氏である。テレビカメラの向こう側にいる視聴者へ向け、彼は何度も「事実に基づいて見ていきたい」と念を押しつつ、今回の出来事の意味を、一つひとつ積み上げるように語っていった。
防衛省・自衛隊が把握していた中国艦隊の動きは、極めて詳細だった。
中国海軍の空母を中核とする艦隊は、まず東シナ海を北上し、宮古島と沖縄本島の間――いわゆる宮古海峡を通過して太平洋に出た。ここまでは、これまでも幾度となく繰り返されてきたコースである。
しかし今回、艦隊はまっすぐ東進するのではなく、沖縄本島から北東方向、南大東島・北大東島方面へと進路を変えた。昨日の時点で、その位置は九州のすぐ南方海域にまで達していたと確認されている。
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