義父が亡くなったのは、朝のまだ薄暗い時間だった。
義母から震える声で電話があり、私は一歳の娘ノアを抱えてすぐに駆けつけた。葬儀社との打ち合わせ、親戚への連絡、祭壇の準備。家の中は悲しみと慌ただしさでいっぱいだった。
ただ一人、夫の武人だけが捕まらなかった。
何度電話しても出ない。仕方なくLINEを送ると、ようやく返ってきたのは信じられない言葉だった。
「今、両親と温泉旅行中!親孝行の邪魔するな!」
私は画面を見たまま凍りついた。
目の前では、義父の遺影を置く場所を決めている。義母は泣き腫らした目でお茶を用意している。
その義父母と温泉にいる?
武人はさらに続けた。
「次に連絡してきたら離婚だからな」
私は静かに返信した。
「わかりました。お邪魔してすみません」
言われた通り、それ以上は一切連絡しなかった。
代わりに義母が電話した。
「お父さんが今朝亡くなったの。明日が通夜よ。すぐ帰ってきなさい」
ところが武人は信じなかった。
「数時間前に親父から着信があった。母さんたち、俺を騙してるんだろ」
義母の顔から血の気が引いた。けれど、何度説明しても夫は「出張中だから無理だ」と言い張った。
翌日の通夜にも来ない。
その翌日の葬儀にも来ない。
火葬が終わった頃、ようやく届いた連絡は「今、空港に着いた」だった。
仙台出張だと言っていたはずなのに、なぜ空港なのか。問い詰めても「急いだんだよ」としか言わない。
義母は静かに怒っていた。
「長男が父親の葬儀に顔も出さないなんて、絶対に許さない」
数日後、私は武人の洗濯物から一枚のレシートを見つけた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=TrF_B-R78f4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]