父の還暦を迎える一か月前、私は久しぶりに父へ電話をかけた。
「お父さん、来月誕生日でしょう? もう還暦なんだよね」
「ああ。六十歳か……自分でも驚くよ。最近は少し疲れやすくなってな」
私は心配になった。
半年ほど前に実家へ帰ったきりだったが、父の声を聞くと、どうしても直接会いたくなった。
「じゃあ、誕生日の日に帰るね。一緒にお祝いしよう」
「本当に来てくれるのか?」
父の声が少し明るくなった。
「もちろん。お父さんの還暦祝いなんだから、何があっても帰るよ」
私は結婚して実家を離れていた。夫の結人と子供と暮らし、今の生活は幸せだった。
ところが、その一週間後。
姉から突然、連絡が来た。
「もうすぐ父さんの誕生日なのは知ってる?」
「もちろん。お父さんから聞いてるよ」
すると姉は、冷たい声で言った。
「じゃあ、誕生日は帰ってこなくていいから」
「え?」
「家族だけで祝うの。嫁に出た女は、もう家族じゃないでしょう?」
私は耳を疑った。
「何を言ってるの? 私は娘だよ。名字が変わっただけで、家族じゃなくなるわけじゃないでしょう」
「よくそんな顔で帰ってこられるわね。
家を捨てて別の家に嫁いだくせに」
さらに姉は、信じられない条件まで突きつけてきた。
「それでも家族だと言い張るなら、給料を全部私たちに渡しなさい。それが条件よ」
「そんなこと、できるわけないでしょう」
「ほらね。結局、家族なんてどうでもいいんじゃない」
私は反論する気力も失った。
それでも父のことだけは諦められなかった。
そして迎えた父の誕生日。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=10nNVMNRsE0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]