婚約者である春男の母・奈美は、異常なまでの学歴至上主義者でした。「我が家は夫婦も息子も全員がT大卒のエリート一家。関西の国立大など大卒とは認めない」と平然と言い放ち、結婚の挨拶を前に、私と父を品定めするかのように自宅へ呼び出したのです。 当日、慣れない場に緊張する父の質素な身なりと「最終学歴は高卒」という事実を知るや否や、奈美の態度は豹変しました。
「薄汚い血が流れる底辺が、うちの息子と結婚できると思うな!」と激昂し、あろうことか私に向かって湯呑みの熱いお茶を浴びせかけたのです。そのまま玄関から叩き出され、婚約破棄を一方的に言い渡されました。亡き母に代わり、男手一つで私を大切に育ててくれた父を侮辱された瞬間、私の中で冷徹な決意が固まりました。
数日後、私は奈美へ一枚の画像を送信しました。 「私の学歴をお伝えします。T大は滑り止めでしたので辞退いたしました」 添付したのは、父が実家から取り寄せてくれた私の卒業証書です。そこに刻まれていたのは『京都大学医学部』、そして首席卒業の栄誉たる『総長賞』の文字でした。 「捏造に決まっている!」と錯乱する奈美に対し、春男が冷然と言い放ちました。
「洋子は国内最高峰の医学部を首席で出た、本物の研究者だ。母さん、愛する人にお茶を浴びせるような人間とは、金輪際絶縁する」 溺愛する息子から完全に拒絶された奈美は、狂気に囚われていきました。
プライドを粉々に砕かれた奈美は、あろうことか私の所属する医療研究所に対し、「研究費を私的に流用して豪遊している」という悪質なデマを各所へ流し始めたのです。
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