大学受験まで残り一か月を切った冬の日。
えみは自習室から早めに帰宅した。
理由は単純だった。
体調が悪かったからだ。
少し前から熱っぽさを感じていたが、無理をして机に向かっていた。しかし、集中力は落ち、周囲の受験生にも迷惑になると思い、帰る決断をした。
だが、そのことを亮太に伝えた瞬間、返ってきた言葉は心配ではなかった。
「なんで帰ったんだよ?」
「二十二時まで勉強するって約束したよな?」
「彼氏との約束破るとか最低だろ」
えみは戸惑った。
「ごめんね。ちょっと熱っぽくて……」
すると亮太はため息をついた。
「謝れば済むと思ってる?」
「受験を甘く見てるだろ」
亮太は自分の成績に絶対的な自信を持っていた。
第一志望はA判定。
一方、えみはC判定。
その差を何度も持ち出し、まるで自分が上の立場であるかのように話していた。
「俺くらい余裕があるなら息抜きしてもいい。でも、えみは違うだろ」
「本番まで一か月なんだぞ」
「気が抜けてるから熱なんか出るんだ」
えみは何も言い返せなかった。
以前の亮太は優しかった。
受験が本格化する前までは、励ましてくれる恋人だった。
しかし、夏を過ぎた頃から少しずつ変わっていった。
勉強時間、模試の結果、生活態度。
何もかもを管理され、えみはいつしか亮太の機嫌をうかがうようになっていた。
そんな時、連絡をくれたのが慎吾だった。
「今日、体調悪そうだったけど大丈夫?」
その一言だけで、えみの心は少し軽くなった。
「ちょっと熱っぽいだけ」
「いや、それ大丈夫じゃないだろ。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=COiYQIImwm0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]