アウトレットモールに行く予定は、もともと私一人の買い出しだった。仕事用の靴と、子どもに必要な衣類を数点。時間も予算も決めていた。買うものはメモに書き、無駄な寄り道をしない。そういう“段取り”がないと、生活は崩れる。
ところが当日の朝、義姉から一方的に連絡が来た。
「今日アウトレット行くんでしょ? 私も行く〜。車乗せて!」
断る間もなく、集合場所に現れた義姉は、最初から機嫌が良かった。
私の車に乗り込みながら、当然のように言った。
「いや〜久々に爆買いしたいんだよね。アウトレットってテンション上がるじゃん」
私は曖昧に笑ってハンドルを握った。嫌な予感はあったが、その時点ではまだ“同乗”に過ぎなかった。ところがモールに着いた瞬間、義姉は私の予定など見ていない顔で、地図を広げて宣言した。
「まずハイブランド。次、コスメ。最後に靴。あ、あなたは適当に見てていいよ」
“適当に”という言葉が、妙に引っかかった。こちらは買うものを決めて来ている。けれど義姉は、買うこと自体が目的だ。さらに悪いことに、レジ前になると必ず私の方を見て、こう言う癖があった。
「え、払ってくれないの? 車出してくれてるし、今日はお願い〜」
その日も同じ流れになった。最初の店でカゴが膨らみ、次の店でも膨らみ、義姉の手にはいつの間にかブランドの紙袋が増えていく。私は自分の買い物を早めに済ませ、待ち合わせ場所のベンチで時間を確認した。約束の時間はとっくに過ぎている。義姉は「あと一軒だけ!」を何度繰り返したか分からない。
そして夕方、義姉は突然こう言って消えた。
「ちょっと最後に見たい店あるから! 先にフードコートで待ってて!」
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