帰省のための切符を買いに行ったとき、ふと去年の年末年始を思い出しました。毎年、旦那の実家に近距離で別居しているため、年末年始は私の実家へ帰省します。電車で四時間ほどの長旅ですが、座れないのが嫌なので、いつも早めに指定席を購入します。ところが、去年の正月、駅は異常に混雑していて、荷物を抱えながら指定席に座ろうとした瞬間、予想外の出来事が起こったのです。

私たちの指定席に、若い夫婦が座ろうとしているではありませんか。最初はただの間違いかと思い、気にも留めなかったのですが、夫婦の会話が耳に入ってきました。「ここ、座れるんじゃない?」と話している様子が気になり、私たちが席に座ると、二人は「残念」と少しがっかりした表情を浮かべました。
しばらくして、再びその夫婦が現れました。男性が少し困った顔で「すみません、自由席がいっぱいで…」と言い出しました。そして、男性が語り始めました。
「実はうちの嫁が妊娠中でして…」と、お腹をなでながらニコニコと微笑む妻を指差して言うのです。私はすぐにピンときました。「つまり、席を譲れってことね」と思ったのです。
心の中でイラっとしながらも、私はできるだけ穏便に、「すみません、私たちもあと四時間近く乗る予定でして、車掌さんが来るので、早めに少しでも別の席がないか聞いてみてはどうですか?」と早口で話しました。
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