私が親友の美咲に裏切られたと知ったのは、夫のスマホに届いた一通の通知からだった。深夜、浴室の換気扇の音だけが響く中で画面を見て、背中が冷たくなった。
「今度は私が奥さんになる番だよね」
次の日、夫は悪びれもせず告げた。相手は美咲。私が悩みを打ち明け、食事を奢り、何度も支えてきた“親友”だった。夫はタワマンを複数所有していると周囲に吹聴され、義両親はその肩書きを誇らしげに語っていた。
だから美咲は、そこを獲りに来たのだとすぐ分かった。
そして案の定、義実家は一瞬で寝返った。
姑は涙を拭うふりをして言う。
「あなたが至らなかったのよ。美咲さんは気が利くし、何より家の格に合うわ」
舅も頷き、夫の背中を押した。
「男は外で羽ばたくものだ。余計な揉め事は避けろ」
私が言葉を失っていると、美咲は勝利宣言みたいに笑った。私の前で、わざとらしく夫の腕に絡む。
「夫さんとご両親は、私を選んだの。あなたはもう終わり」
そして、最後に甘ったるい声で追い打ちをかけた。
「慰謝料はタワマン一室ね。いいでしょ? どうせ夫さんのものなんだし」
その瞬間、胸の奥で何かがすっと静かになった。怒りより先に、確認したいことがあったからだ。私はスマホのメモを開き、あるフォルダを見返した。登記、売買契約、管理会社との契約書。
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