その日は、日本代表戦の日だった。
街中が試合の話題で盛り上がり、会場周辺には多くの人が集まっていた。
駅周辺の駐車場も朝から満車状態。
車で来た人たちは、空いている場所を探して何度も周辺を回っていた。
そんな中、ある駐車場で1台の車が目立っていた。
白線で区切られた駐車スペース。
そこに停められた車のワイパーには、1枚の紙が挟まれていた。
紙にはこう書かれていた。
「当店のご利用のお客様ではありません」
「長時間の駐車は調査します」
強い言葉ではない。
でも、その場にいた人には十分伝わる内容だった。
なぜなら、その車は駐車場を利用する人のための場所を長時間占領していたから。
近くの店舗を利用する人たちは、車を停めたくても空きがない。
買い物に来た高齢者。
子どもを連れた家族。
短時間だけ利用したい人。
多くの人が困っていた。
しかし、その車の持ち主は戻ってこなかった。
周囲では、
「試合を見に行ったのかな」
「でも、ここは観戦用の駐車場じゃないよね」
そんな声が聞こえていた。
もちろん、駐車場を利用する理由は人それぞれ。
少し休憩することや、短時間停めることは誰にでもある。
でも問題だったのは、
「自分だけなら大丈夫」
という考えだった。
駐車場には、それぞれ利用する人がいる。
決められた場所には、決められた理由がある。
その車を見た店舗側も、最初から怒鳴ったわけではなかった。
何度も様子を確認した。
利用者が戻る可能性も考えた。
それでも長時間動かなかったため、注意の紙を残した。
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