トイレへ入ったとき、特に異変は感じなかった。
いつものようにドアを閉め、用を済ませた。
ところが、外へ出ようとしてドアノブを回した瞬間だった。
「……あれ?」
ノブは動くのに、ドアが開かない。
最初は建て付けが悪いだけだと思った。
少し強く押してみる。
次に引いてみる。
肩を当て、体重をかけても動かなかった。
「ちょっと待って。本当に開かない」
何度試しても、ドアは閉じたままだった。
次第に焦りが大きくなった。
スマートフォンはトイレの外に置いてある。
窓もない。
外へ助けを求める手段がなかった。
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