2歳の双子は、可愛い。けれど可愛いだけでは回らない。朝は二人同時に泣き、二人同時に抱っこをせがみ、二人同時におむつを替え、二人同時に転ぶ。私は毎日、時間に追われながら息を整えるだけで精一杯だった。
夫は「仕事が忙しい」を盾に、育児にはほとんど関わらなかった。帰宅は遅い。休日も寝ているかスマホ。私が「少しだけ見てて」と頼んでも、「疲れてる」と一言で終わる。
そのくせ外面だけは良く、親戚の前では「うちの妻、育児が上手でさ」と笑う。私は反論する気力もなく、ワンオペを“日常”にしてしまっていた。
その日、夫は妙に機嫌が良かった。玄関で靴を脱ぎながら、笑いを堪えるように口元を歪める。私は嫌な予感がして、双子に夕飯を食べさせながら黙っていた。
夫はリビングに入るなり、突然言った。
「お前の妹を妊娠させたw 離婚だw」
一瞬、音が消えたように感じた。双子がスプーンを落とす音だけが大きい。私の妹――真面目で、私を姉として頼りにしてくれる子だ。冗談にするには悪質すぎる。けれど夫の顔は本気で、しかも勝ち誇っていた。
私は、驚きより先に、静かに確認した。
「……本当に?」
「本当。もう終わり。お前は用無し」
私はスプーンを置き、双子の口元を拭いた。それから、夫をまっすぐ見て言った。
「じゃ、双子も連れてってね」
夫の笑いが止まった。
「……は?」
「離婚するなら、あなたが引き取って。
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