「……え? ここ通るつもりなの?」
朝の通勤時間。
いつもの道路を走っていた私は、交差点の手前で思わずブレーキを踏みました。
目の前にいたのは、巨大なクレーン車。
普通のトラックとは比べものにならない大きさで、長いアームが道路を大きく横切っていました。
前には数台の車が止まり、後ろには次々と車が並んでいます。
信号は青になった。
でも、誰も動けない。
「いやいや……これは無理だろ」
思わずそう思ってしまいました。
写真を撮ったのは、その瞬間でした。
道路を見ると、片側は完全に塞がれているように見える。
歩行者もいる。
普通車もいる。
通勤時間帯で急いでいる人も多い。
「もう少し考えて作業できなかったのか」
そんな不満が頭をよぎりました。
しかし、数分間その場に止まっていると、少しずつ状況が見えてきました。
このクレーン車は、ただ勝手に道路を塞いでいるわけではありませんでした。
どうやら近くで工事をしているようで、重量のある機材を扱うために必要な作業だったようです。
作業員の方たちは周囲を確認しながら、慎重に動いていました。
誘導員も立っていて、車の流れを調整しています。
最初は、
「なんでこんな場所でやるんだ」
と思った自分でしたが、冷静に考えると、道路工事や建物の工事は誰かがやらなければいけません。
でも一方で、利用する側の気持ちも分かります。
朝の忙しい時間。
予定より遅れる。
急いでいる人もいる。
だからこそ、工事をする側と道路を使う側、両方の配慮が必要なのだと思いました。
その後、誘導員の合図で少しずつ車が進み始めました。
数分の足止めでしたが、車内ではイライラしている人もいたと思います。
私自身も最初は、
「馬鹿じゃねーの」
と思ってしまいました。
でも、家に帰って写真を見返した時、少し考えが変わりました。
私たちは普段、道路や建物、電気、水道など、当たり前に使っているものがあります。
でも、その裏では誰かが危険を伴う作業をしています。
大きなクレーン車が道路にいる理由。
それは、誰かの生活を支えるための仕事だったのかもしれません。
もちろん、安全確認や周囲への案内はもっと必要です。
迷惑をかけない工夫も大切です。
でも、見た瞬間の怒りだけで判断してしまうと、本当の事情を見落としてしまうことがあります。
あの日、道路を塞いでいた巨大なクレーン車。
最初は「邪魔だ」と感じた存在でした。
しかし数分後には、
「こういう仕事をしてくれる人がいるから、街が動いているんだな」
と思えるようになりました。
ただの渋滞の原因に見えた光景が、少し違って見えた朝でした。