大晦日の夕暮れ、冷たい雨が町を濡らしていました。
年の瀬で人々が足早に家へ急ぐ中、商店街の片隅に、一匹の柴犬がうずくまっていました。毛は雨でびしょ濡れになり、体は小刻みに震えています。そして何より目を引いたのは、大きく膨らんだお腹でした。
「元気でもないのに、こんなところへ来るな。あっちへ行け!」
誰かが吐き捨てるように言い、ほうきを振り上げました。
犬は怯えたように後ずさりました。それでも逃げる力さえ残っていないのか、数歩進んでは立ち止まり、通りを行き交う人々を見つめていました。
私は、その姿を見た瞬間、足を止めました。
長年連れ添ってきた妻の春子を家で待たせていたため、最初はそのまま通り過ぎようとも思いました。しかし、あの犬の目を見てしまったのです。
そこには、助けてほしいという訴えよりも、「もう少しだけ、ここにいてもいいですか」と尋ねるような、静かで優しい光がありました。
私は財布を取り出し、近くの店で牛肉を買いました。
「ほら。怖くないよ」
肉を差し出すと、犬はしばらく私の顔を見つめ、それからゆっくりと口を近づけました。
ほんの少し食べたところで、また私を見上げます。
私は決めました。
この子を置いて帰ることはできない。
濡れた体を抱き上げると、犬は驚くほど軽く、そして静かでした。私はそのまま家へ連れて帰りました。
家に着くと、妻の春子が驚いた顔をしました。
「あなた、その犬……どうしたの?」
「雨の中で震えていたんだ。しばらく家に置いてやろう」
春子は長い間、体の痛みに苦しんでいました。
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引用元:https://www.youtube.com/shorts/MzgSIPoBAis,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]