「その席、将校に譲れよ?」女性に特等席を譲れと怒鳴った大隊長、その直後に警務隊が突入し…
東京駅の夕暮れは、いつも以上に慌ただしかった。
晩秋の冷たい風が吹き抜ける中、週末を迎えた駅構内には、旅行へ向かう人々の期待と疲労が入り混じった空気が漂っていた。仕事帰りの会社員、家族旅行へ向かう人、遠方へ向かう学生たち。その誰もが、それぞれの目的地を目指して足早に歩いていた。
そんな人波を堂々とかき分けるように、一人の男が現れた。
短く刈り込んだ髪。鍛えられた体格。機能性の高いジャンパーに、軍人らしい無駄のない歩き方。
陸上自衛隊第一師団所属の大隊長、山田賢治だった。
「くそ……なぜ輸送支援の席が取れないんだ」
山田は苛立った声を漏らした。
本来なら自衛隊関係の手配で、余裕を持って移動できるはずだった。しかし、急遽決まった防衛省関連の会議によって予定が狂い、一般の切符売り場に並ぶことになったのだ。
しかも週末。
指定席はほぼ満席だった。
山田が渋々列の最後尾に並ぶと、その前には一人の女性が立っていた。
ベージュ色のトレンチコートを身にまとい、肩には重そうな革のバッグを掛けている。
姿勢は美しく、周囲の喧騒の中でも不思議なほど落ち着いた雰囲気を放っていた。
その女性の名は、早川マリ。
しかし山田には、ただの一般客にしか見えていなかった。
「次の方、どうぞ」
窓口の声に、早川が前へ進む。
「名古屋駅まで、一番早い新幹線を一枚お願いします」
落ち着いた低い声だった。
駅員が端末を確認すると、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=hT9x9ReX4Zg,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]