たった数分の「まあいいか」が、取り返しのつかない一瞬に変わる。
狭い路地に、銀色のコンパクトカーが止まっていた。運転席は空。ハザードもない。しかも、左右の余裕はほとんどゼロ。そこへ現れたのが、大きな緊急車両だった――赤い車体がゆっくりと路地へ入ってくる。通れない。下がれない。曲がれない。まさに“詰み”だった。
ここで、あなたが知らない違法駐車の現実がある。
違法駐車は「迷惑」だけで終わらない。場所が悪ければ、それは“通行妨害”として、人の命や安全を直接奪う引き金になる。救急車や消防車が通れない、ゴミ収集が止まる、配送が遅れる――そんな話はよく聞くが、現場ではもっと切迫している。目の前で車両が立ち往生した瞬間、周囲の空気は一気に変わるのだ。
そして、このケースの厄介さはここから。
駐車マナーの悪い車を「見せしめにしてやろう」と、撮影してSNSに“晒した”人物がいた。通行を妨げるほど危険な場所に止めているのを見て、怒りが爆発したのだろう。
だが、その行動が事態をさらに加速させる。
緊急車両の運転手は、通るためにわずかな隙間を探し、慎重に車体を寄せた。
――次の瞬間。
ミラーか、バンパーか、あるいは車体の側面か。金属がこすれるような音が路地に響き、両者はついに接触してしまった。
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