人の体は、心臓が止まった瞬間にすべてが終わるわけではない。むしろ、その時から静かに、そして確実に、肉体だけの長い変化が始まる。
まず起こるのは、血液の流れが止まることだ。生きている間、血液は酸素と栄養を全身へ送り届けている。しかし心停止によって循環が止まると、皮膚の表面にあった血の気は失われ、顔や手足は少しずつ青白くなっていく。
これが、死後の体が冷たく、遠い存在に見える最初の理由である。
同時に、筋肉の力も抜けていく。まぶた、口元、手足、全身の緊張がゆるみ、表情は生前とは違う穏やかさを帯びることがある。だが、それは安らぎというより、体を支えていた神経と筋肉の働きが失われた結果だ。直腸や膀胱の内容物が保てなくなり、排泄や排尿が起こる場合もある。生きている間なら当然働いていた制御が、もう効かなくなるのである。
やがて体温は下がり始める。体は周囲の空気に近づくように冷えていき、触れた時の温度は、時間の経過を静かに語る手がかりになる。肥満体は脂肪が断熱材のように働くため冷えにくく、痩せた体は早く冷えやすいとも言われる。
死後の変化は、人の体格や環境によっても大きく変わるのだ。
血液は重力に従って、体の低い部分へ沈んでいく。すると背中や腰、手足の下側などに赤紫色の斑点が現れることがある。これが死斑と呼ばれる変化で、生前のあざとは違い、血液が流れを失ったことで生じる模様である。静かな皮膚の下で、体はもう生きていた時とは別の法則に従い始めている。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=hpT6tI1pSHM&t=4s,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]