――その朝、駐車場に戻ってきた会社員は、思わず自分の目を疑った。
自分たちの会社が契約している駐車場に、見覚えのない軽自動車が堂々と停まっていたのだ。
「またか……」
実はこの駐車場、以前から無断駐車が後を絶たなかった。だが今回は違った。明け方に出勤した時にすでに停まっており、仕事を終えて戻ってきても、まだ同じ場所に居座っていたのである。

さすがに我慢の限界だった。
会社員は警察に連絡し、事情を説明。しかし、所有者の連絡先は分からず、すぐに移動させることもできない。そこで警察から提案されたのが、「関係者以外駐車禁止」の張り紙を貼って注意喚起するという対応だった。
――だが、この“注意喚起”が、想像を超える事態を招く。
会社員は了承すると、張り紙を一枚、二枚……気づけばフロントガラス一面、サイドガラス、ホイール、アンテナにまで、これでもかというほど貼り付けた。
しかもテープは剥がしやすい養生テープ。嫌がらせのようでいて、どこか妙に丁寧だった。
しばらくして再び駐車場に戻ると、車は張り紙ごと忽然と姿を消していた。
まるで何事もなかったかのように。
この一部始終を、会社員は写真付きでX(旧Twitter)に投稿。
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