還暦を過ぎて五年。夫に先立たれた私は、火事で家を失ってから1DKのアパートで一人暮らしを続けていた。窓の外には子育て世代の笑い声が響き、挨拶と世間話だけで心が温まる。私は、息子たちの家庭とも、こんな穏やかな距離で繋がれたら――そう願っていた。
その矢先、長男の結婚が決まった。相手はきりっとした女性で、しかも授かり婚。喜びに胸が膨らむ私の横で、長男が屈託なく言った。
「母さん、俺たちと同居しようよ」
ところが、長男嫁の顔が一瞬で固まった。「保育園に預ければいい。助けはいりません」――拒絶は迷いなく、冷たかった。
それでも私は争いを望まない。笑って引き下がり、二人を見守ることにした。けれど、攻撃は終わらなかった。平日の昼、長男嫁が突然アパートに現れ、部屋を値踏みするように見回し、私のバッグを指して言い放った。
「質素な部屋に、ハイブランドって不釣り合い。見栄っ張りですよね」
さらに釘を刺すように続ける。
「私たちに負担をかけないで。夫はもう“あなたの息子”じゃなくて、私の旦那ですから」
数か月後、孫が生まれた。しかし面会は断られ、祝いも受け取ってもらえない。写真だけが時々届き、それすら途絶えた。車で十五分の距離なのに、心は遥か遠かった。
そんな私を救ったのは、次男の結婚報告だった。海外勤務から戻った次男が連れてきた女性は、終始やわらかな笑顔で私の手を取った。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9Xy-NrZpuq4,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]