「もう、墓じまいすることにしたから」
兄からの電話は、それだけを一方的に告げて切れた。
私は受話器を持ったまま、しばらく動けなかった。
実家の墓は、祖父の代から続くものだった。
盆や彼岸には必ず家族で手を合わせてきた場所だ。
それを兄は、私に一言の相談もなく決めていた。
「勝手すぎる」
折り返しの電話で、私はそう言った。
兄は少し間を置いてから答えた。
「相談しても、お前はどうせ反対するだろう」
その言い方に、余計に腹が立った。
「反対するかどうかは、聞いてから判断することだろう」
電話越しの兄の声は、いつもより疲れて聞こえた。
「もういいよ。俺が全部やるから、お前は口を出すな」
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