赴任初日の朝から、社内の空気は妙に張り詰めていた。
理由は一つ。海外の有名大学を出たという“高学歴”の新部長が、満を持して本社へ乗り込んできたからだ。人事がやたらと持ち上げ、役員連中も「彼なら改革できる」と期待しているらしい。しかし、私はその手の“肩書きだけで威張る人間”を何人も見てきた。
だからこそ、妙な胸騒ぎが消えなかった。
案の定、朝礼が始まるなり新部長はマイクを掴み、笑みを浮かべたまま言い放った。
「まず確認します。高卒以下は名乗り出ろ。うちに必要ない。クビだ」
ざわ、と空気が揺れた。冗談のトーンではない。確信犯的な見下しが、その声には混じっていた。
社員たちは互いの顔を見合わせ、誰も動けない。高卒だろうが専門卒だろうが、現場の最前線で会社を回しているのは彼らだ。だが、部長はそれを見ようともしない。
「返事がないならこちらから調べる。時間の無駄だから今ここで名乗れ」
私は前列の端で静かに手を挙げた。
俺「高校中退です…」
瞬間、部長の目が輝いた。
「ほう。なら話は早い。君、クビ」
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