妻「な、何するの…!?」
間男「あ、あんた正気か!?」
二人の声が重なった瞬間、俺は玄関の鍵を静かに掛け直した。逃げ道を塞ぐためではない。今から始めるのは暴力ではなく、事実確認と手続きの話だ。感情に任せて壊すほど、俺はもう若くない。
テーブルの上に、分厚いクリアファイルを置く。妻はそれを見た途端、顔から血の気が引いた。
間男は虚勢を張るように笑い、「証拠でもあんのかよ」と吐き捨てた。
「ある。しかも、逃げられない形でな」
俺はスマホの画面を見せた。日時入りの写真、ホテルの領収書、位置情報の履歴、そしてLINEのやり取り。読み上げはしない。見せるだけで十分だった。妻は唇を噛み、指先を小刻みに震わせる。間男は目を泳がせ、椅子の背を掴んだ。
「で、何がしたいんだよ」
「“制裁”だ。正確には、責任を取らせる」
俺は封筒を二つ並べた。ひとつは妻宛、もうひとつは間男宛。どちらも内容証明郵便の控えで、すでに弁護士に依頼済みだ。
「慰謝料の請求額、支払い期限、今後の接触禁止。妻には協議離婚の条件も付けた。子どもはいない。だからこそ、ここで綺麗に終わらせる」
妻が掠れた声で言った。
「待って…私、そんなつもりじゃ…」
俺は視線を逸らさず、淡々と返す。
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