海外出張から戻った翌朝、私は時差ぼけのままオフィスの自席に着いた。机の上には未処理の書類が山のように積まれ、誰も手を付けた形跡がない。胸の奥で嫌な予感が膨らんだ、その直後だった。
「おーい、君。社長室に来て」
呼び出しに従うと、椅子にふんぞり返った無能な二代目社長が、にやにやしながら言い放った。
「君はクビだからねw 海外行っても成果が見えないし、雰囲気が暗くなるんだよ」
俺「(出た!)」
心の中で苦笑しつつ、私は深く頭を下げた。
「承知しました。手続きに必要な書類をご用意ください」
社長は拍子抜けした顔をした。反論して泣きつく姿を期待していたのだろう。だが、私はこの会社で“何が回っていて、誰が回しているか”を知っていた。だからこそ、言い返さない。感情を見せない。淡々と、退職を確定させる。
その日、私は引き継ぎ依頼を文書で出し、担当案件の現状と注意点を一覧にして提出した。ところが社長は「余計なことするな」と突っぱね、机の上でそれを指で弾いた。
“ああ、この人は本当に分かっていない”と、確信に変わった。
退職した翌月、地獄は社長の方に訪れたらしい。
私のスマホには、見慣れた会社番号からの着信が鳴り止まなかった。最初の一週間で30件、二週間で60件、月末には100件を超えた。
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