「嫁の代わりはいくらでもいる」
義母がそう言い放った瞬間、胸の奥で何かが静かに切れた。これまで何度も嫌味を言われ、理不尽な命令に耐え、夫の前では愛想よく振る舞う義母の裏の顔を受け止めてきたが、その言葉だけは聞き流せなかった。私は湯のみをそっと置き、できるだけ平静を装いながら答えた。
「では、私は出て行きます」
その場にいた義母は、一瞬だけ目を丸くした。
だが次の瞬間には鼻で笑い、「結構よ。あなたみたいな気の利かない嫁、いなくても困らないわ」と吐き捨てた。私は何も言い返さなかった。もう十分だったからだ。
結婚してからというもの、私は義実家で完全同居をしていた。夫は長男で、「母さんも年だから、しばらく助けてやってほしい」と言っていた。最初は私も、そのつもりで努力した。朝は誰より早く起きて朝食を作り、掃除、洗濯、買い物を済ませ、義父の通院の付き添いまで引き受けた。ところが義母は、どれだけ尽くしても決して認めなかった。
「味が薄い」
「掃除の仕方がなってない」
「うちの息子にはもっと出来た嫁がふさわしかった」
「子どもがまだできないのはあなたのせいじゃないの?」
言葉のひとつひとつが棘のように刺さった。しかも厄介なのは、義母が夫の前ではまるで別人のようになることだった。「お嫁さん、いつもありがとうね」と猫なで声を出し、私が少しでも疲れた顔を見せれば、「若いのにだらしない」と陰で責め立てる。
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