待ちに待ったねぶた祭りの日。
私は事前に有料観覧席のチケットを購入していた。
せっかくなら近くでゆっくり見たい。
そう思って、時間に余裕を持って会場へ向かった。
指定された席に座り、祭りが始まる瞬間を楽しみに待っていた。
周りにも同じようにチケットを握りしめた人たちがいた。
「今年はここから見られるんだ」
そんな期待で、会場全体が少しずつ盛り上がっていた。
そして、ねぶた祭りが始まった。
迫力ある山車。
大勢の観客の歓声。
太鼓の音。
目の前で繰り広げられる光景に、私は「有料席を買ってよかった」と思っていた。
しかし、開始から約1時間。
少しずつ違和感が出始めた。
本来なら入口でチケット確認をしている係員。
最初はしっかり対応していた。
でも、時間が経つにつれて、その確認がほとんど行われなくなっていた。
「あれ?」
と思っていると、次々と知らない人が空いている席に座り始めた。
最初は、
「たまたま席を間違えたのかな」
と思った。
でも違った。
チケットを持っていない人たちが、普通に座って祭りを見始めていた。
しかも、周囲を気にする様子もない。
まるで最初から自分たちの席だったかのようだった。
私は自分のチケットを確認した。
もちろん正規に購入したもの。
決して安いものではない。
時間を作って、この場所で見るために払ったお金だった。
それなのに、何の確認もなく座れる人がいる。
正直、納得できなかった。
さらに驚いたのは、その後だった。
一度席を離れていた本来のチケット所有者が戻ってきた時。
そこには知らない人が座っている。
「すみません、その席チケットありますか?」
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