あの瞬間の衝撃は、十五年経った今でも体の奥に残っている。背中を強く押された感覚、視界が一気に反転し、階段の角が迫ってくる恐怖。――私は、義母に階段から突き落とされた。
倒れ込んだ私を見下ろしながら、義母は口元を歪めて笑った。
「離婚か、あの世行きか、選べw」
冗談めかした語尾とは裏腹に、その目は冷え切っていた。助け起こすどころか、私が息をしているかどうかすら気にしていない。私は痛みと眩暈の中で理解した。ここは、私の居場所ではない、と。
夫は当時、海外赴任中だった。長期の単身赴任で、家には義母と私だけが残された。表向きは「息子の留守を守る仲の良い嫁姑」のはずだったが、現実は真逆だった。義母は毎日、些細なことで私を責め立て、食事を捨て、掃除の埃を指でなぞっては嘲笑した。私が夫に相談しようとすると、「余計な心配をかけるな」と言い、電話の前で圧力をかけて黙らせた。
階段から落とされた日、私は救急外来で処置を受け、診断書を握りしめて帰宅した。
しかし玄関の鍵は変えられていた。門の前には私の荷物が段ボールに詰められ、乱暴に積まれていた。義母が腕組みをして言った。
「ここは息子の家。あなたはもう不要。帰るところがないなら、実家でも何でも行けば?」
私は震える指で夫に連絡したが、繋がった瞬間、彼の声は冷たかった。
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