私はIT企業を経営する明といいます。社員も穏やかな人が多く、毎日楽しく仕事をしていました。ある朝、会社の敷地内に見慣れない車が三台止まっているのに気づきました。近くの解体業者、犬井解体の車です。注意しに行くと、社長らしき男は「目が悪いもんでな」と悪びれる様子もなく笑いました。警察を呼んでも「民事不介入でしょうが」と開き直り、その日以降も繰り返し無断駐車をされるようになりました。
会社の駐車スペースが埋まり、取引先の車が来ても止められず、打ち合わせに支障が出るようになりました。困った私は、空いていたもう一区画の駐車スペースについても正式に契約を結び、貸し出すことにしました。しかし借り手として現れたのは、思いもよらない人物たちでした。
一台目の契約者は、地元最大級の組織で若頭を務めるという人物。二台目は、その組長本人。三台目もまた別の関係者だったのです。彼らは正式に駐車場の契約を交わしており、犬井解体の面々が言いがかりをつけられる筋合いはありませんでした。犬井解体の社長は、その正体を知らないまま、彼らの車をからかうような態度を取ってしまいます。
やがて偶然と勘違いが重なり、犬井解体の車は身動きが取れない状況に追い込まれていきます。
両側に高級車が停められ、傷をつけるわけにもいかず、車を出すこともできません。仕事道具も車内に積んだままで、取引先からの解体依頼にも対応できなくなり、大口の取引先からは今後の取引を断られてしまいました。彼らが積んでいた道具だけでも、買い替えるにはかなりの金額がかかるものばかりでした。人力で運び出そうにも、両隣に停まった車の間はあまりに狭く、少しでもこすれば重大な損害になりかねません。
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