義妹が私たち夫婦の家を、自分の都合のいい“倉庫”か何かのように扱っていることには、以前から薄々気づいていた。
私が留守にしている日に限って、部屋の中の物の位置が微妙に変わっている。しまっておいたはずのアクセサリーケースの向きが違う。未開封だったはずの化粧品の箱に、わずかな折れ目がついている。けれど決定的な証拠があるわけではなく、夫に相談しても「考えすぎじゃないか」と言われることが多かった。
だが、ある日を境に、私は確信した。
クローゼットの奥に大事にしまっていた新品のブランドバッグが、明らかに触られた形跡を残していたのだ。保管用の布袋の結び方が違っていたし、中に入れていた緩衝材も雑に押し込まれていた。私は思わず息を呑んだ。そのバッグは、自分へのご褒美としてようやく手に入れたもので、まだ一度も使っていなかった。だからこそ違和感にはすぐ気づいた。
しかもその日の夕方、義妹から一通のメッセージが届いた。
「新品のバッグ借りるわねw」
軽い冗談のような文面だった。だが、私の手は一瞬で冷たくなった。
借りる、ではない。無断で家に入り込み、持ち出そうとしているだけだ。
しかも悪びれる様子すらない。あの一文で、これまでの違和感がすべて一本につながった。義妹は合鍵を使って、私の留守中に何度も我が家へ侵入し、金品を物色していたのだ。
本来ならその場で警察に連絡してもよかった。だが、私はすぐに動かなかった。というのも、その日は少し事情が違っていたからだ。夫が急な予定変更で、私には言わず先に帰宅していたのである。
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