義母が入院したと聞かされたのは、蒸し暑い夕方のことだった。
もともと義母は、結婚当初から私に対して露骨な嫁いびりを繰り返してきた人だった。料理の味に難癖をつけるのは日常茶飯事、掃除の仕方が気に入らないとわざとため息をつき、親戚の前では「この子は気が利かなくて」と笑いものにする。表向きは上品で穏やかそうに振る舞うくせに、二人きりになると態度は一変した。
「あんたみたいなのがうちに嫁いできて迷惑だ」
そう何度も言われ、そのたびに私は唇を噛んで耐えてきた。
夫はというと、そんな義母の本性を知ろうともしなかった。
私がどれだけ訴えても、「悪く取りすぎじゃないか」「母さんに限ってそんなこと言うはずがない」と取り合わず、むしろ私のほうが神経質だと決めつけた。義母は夫の前では、いつも弱々しく優しい母親を演じていたからだ。私は次第に何を言っても無駄だと思うようになり、必要以上に関わらないよう心を閉ざしていった。
そんな義母が、ある日、腕を骨折して入院した。
階段から落ちたらしい、と最初は聞かされた。私は驚きはしたが、まさかその出来事が自分を地獄へ突き落とす引き金になるとは思ってもいなかった。
その夜、仕事から帰ってきた夫は、玄関を開けるなり異様な顔つきだった。目は血走り、呼吸も荒く、明らかに普通ではなかった。
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