お盆になると、義実家には決まって重たい空気が流れた。
表向きは親族が集う賑やかな行事のはずなのに、私にとっては毎年、気を張りつめる数日でもあった。夫の実家で義父母と同居している私は、帰省してくる義姉夫婦を迎える側だったからだ。料理の支度、客間の準備、仏壇への供え物、親族への挨拶。
やることは山ほどあり、私は朝から休む間もなく台所に立ち続けていた。
それでも、その年のお盆は少し特別だった。
義父の体調が以前より不安定になっており、今年は家でゆっくり過ごしたいという希望があったからだ。私はなるべく負担をかけないよう、義母と相談しながら献立を決めた。義父の好きな煮物、夫が好む出汁巻き卵、季節の野菜を使った天ぷら、冷やし鉢、炊き込みご飯。派手ではないが、どれも心を込めて作ったものだった。特に煮物は、義父が若い頃から好んでいた味を義母に何度も確認しながら整えた一品で、朝から丁寧に火加減を見て仕上げたものだった。
夕方になり、義姉夫婦が子どもを連れてやってきた。
相変わらず義姉は派手な格好で、家に上がるなり「暑すぎるんだけど」と文句を口にし、義兄は愛想笑いを浮かべながらスマホばかり見ていた。私はいつものように頭を下げ、冷たいお茶を出し、食卓の準備を進めた。義母も表面上はにこやかだったが、どこか緊張しているのがわかった。
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