うちの敷地に、見知らぬ車が何台も無断で停まるようになったのは、ある大型連休の少し前からだった。
最初は一台だけだった。近所の来客か、道に迷った誰かが短時間だけ停めているのだろうと思っていた。だが、その甘い見方はすぐに打ち砕かれた。翌日には別の車、その次の日には二台、三台と増えていき、気づけばうちの敷地はまるで無料駐車場のように扱われていたのである。
もちろん、何もしていなかったわけではない。入口の目立つ位置に「私有地です」「無断駐車禁止」と書いた張り紙を貼った。赤字で大きく、誰の目にも入るようにしたつもりだった。だが、結果はほとんど変わらなかった。むしろ、その紙を見てもなお平然と車を置いていく神経に、私は言いようのない苛立ちを覚えるようになっていった。
「『私有地です』の張り紙も効果なしか……」
窓越しに見える見知らぬ車列を前に、私はため息をついた。車が増えれば増えるほど、こちらの生活にも支障が出る。荷物の搬入がしづらい。家族の車の出入りもしにくい。何より、自分の敷地なのに好き勝手に使われているという事実が、不快でたまらなかった。
警察に相談しても、すぐに強制的な対応は難しいという。管理会社に頼れる環境でもない。結局、決定的な対策は自分で考えるしかなかった。
そこで私は、発想を少し変えることにした。
真正面から「停めるな」と言っても無視されるのなら、相手が“停めたくなくなる空気”を作ればいい。そう考えた私は、ある日、新しい張り紙を用意した。
そこに書いたのは、これまでとはまったく違う文言だった。
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