義実家に足を運ぶのは、実に三年ぶりのことだった。
最後に訪れたあの日以来、私はあの家から意識的に距離を置いてきた。表向きの理由はいくつもあった。夫の仕事が忙しかったこと、子どもの進学で慌ただしかったこと、私自身も仕事を抱えて余裕がなかったこと。だが本当のところは、義実家に漂うあの息苦しい空気に、もう耐えたくなかったのだ。
義父は無口で、義母は支配的。そして何より気がかりだったのは、夫の妹である義妹の存在だった。もともと明るくよく笑う人で、結婚前に何度か顔を合わせた時も、誰に対しても気配りを忘れない優しい女性だった。けれど義実家では、なぜかいつも彼女だけが忙しく立ち働き、誰よりも肩身の狭い思いをしているように見えた。義母に命じられれば返事ひとつで台所へ走り、義父や夫の兄弟たちが食べ終えた食器を一人で片づけ、座って休む暇すらない。あの頃から、どこか胸に引っかかるものはあった。
その日、どうしても外せない法事があり、私は夫とともに久しぶりに義実家へ向かっていた。車窓から見える見慣れたはずの景色が近づくにつれ、言いようのない重苦しさが胸の奥に広がっていく。
こんな場所に戻ってきたくはなかった。だが、まさか到着前から、あれほど衝撃的な光景を目にすることになるとは思ってもいなかった。
義実家まであと数分というところで、道路脇をふらふらと歩く一人の女性が目に入った。
季節に合わない薄手の服。やせ細った背中。乱れた足取り。最初は近所の高齢者かと思った。
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