埼玉県富士見市で静かに評判を集めている植木屋、「富士見グリーンガーデン」。その名前を初めて耳にしたのは、近所の庭を手入れしていたときのことだった。「あそこの職人は違うよ」と、誰かがぽつりとこぼした一言が妙に印象に残っている。
後日、実際にその仕事ぶりを目にする機会があった。庭の一角に立っていた大きな木が伐採され、そこにはぽつんと切り株だけが残されていた。
多くの人にとって、それは「終わった木の残り」に過ぎないかもしれない。しかし、その職人にとっては、そこからが“最後の仕事”の始まりだった。
「切り株は、そのままにしておくとまた芽を出すこともあるんです」
そう静かに語る職人の手には、見慣れない道具が握られていた。彼はまず、切り株の中心に慎重にドリルを当て、ゆっくりと深く穴を開けていく。その動きには一切の迷いがなく、まるで長年の経験がそのまま指先に宿っているかのようだった。
穴が開くと、次に取り出したのは専用の除草剤。無造作に流し込むのではなく、量や角度を細かく調整しながら、確実に内部へと行き渡らせていく。その後、周囲に薬剤が漏れないよう、丁寧に覆いを施す。
一見すると単純な作業に見えるが、その一つ一つに無駄がない。むしろ、そこには“木と向き合う時間”が流れているようだった。
「一度で終わらせようとすると、かえってうまくいかないんです」
そう言って職人は、同じ工程を数回に分けて繰り返す理由を説明してくれた。内部からじわじわと枯らしていくことで、再生を防ぎ、自然な形で役目を終えさせる。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください