朝の空気がまだ冷たさを残す時間帯、私はいつものようにコンビニへ寄ろうと車を走らせていた。住宅街と幹線道路が交差するこの一帯は、通勤の車と近所の買い物客が入り混じり、速度こそ出ないが気が抜けない。特に、コンビニ前の出入りは歩行者も多く、少しの判断ミスが大きな危険につながる場所だ。
そのときだった。視界の先で、黒く艶のあるジャガーが突然ハザードを点滅させた。
次の瞬間、車体は減速し、まるで当然のように車を止めた。私は思わずブレーキを踏み込み、車間を保ちながら状況を確認する。だが、目を疑った。停車位置が、コンビニの入口の真正面だったのだ。
「え、そこ……止めるの?」
声に出してしまうほど、あまりに無神経な場所だった。駐車スペースが満車ならまだ理解できる。しかしジャガーは寄せることすらせず、道のど真ん中に近い形で止まっている。まるで「自分は少しだけだから」と言わんばかりの停め方で、後続車は当然のように流れを止められてしまう。
さらに悪いことに、その先二十メートルも行かない場所に、信号のある交差点がある。赤信号で車列が伸びれば、ここはすぐ詰まる。
つまり、今の停車は“ただ迷惑”なだけではない。交差点付近の視界を遮り、歩行者や自転車の動線も乱し、事故の引き金になり得る行為だ。私はハンドルを握る手に、じわりと力が入るのを感じた。
すると、ジャガーの運転席から一人の人物が降りた。身なりの整った大人で、焦った様子はない。周囲を一瞥するでもなく、颯爽と歩き出し、赤矢印の先――道路沿いにある小さなパン屋へ向かっていった。
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