在宅ワークに切り替えてから、私は義実家の生活を実質的に支えていた。夫は転職続きで収入が安定せず、義父は体調を崩しがち。光熱費、食費、スマホ代、時には固定資産税の不足分まで、私の口座から静かに補填されていった。誰かに褒められたいわけではない。「家族だから」――ただ、それだけで続けていた。
ところがある日、親戚が集まった席で義母が笑いながら言った。
「あんた誰? うちは4人家族よ」
義父、義母、夫、そして夫の妹。そこに私の席はなかった。箸を持つ手が止まり、喉の奥がひゅっと鳴った。冗談の形をしていても、中身は“他人”の宣告だった。
夫は止めなかった。むしろ軽く笑って、「母さん、言い方きついな」と言うだけ。私はその瞬間、胸のどこかが静かに折れた。支える側を“いないもの”にして、都合の良い財布として扱う――それがこの家の本音なのだと理解した。
その夜、私は荷物をまとめた。大きな喧嘩はしない。泣き叫びもしない。淡々と、PCと通帳、必要書類だけをバッグに入れ、玄関で一言だけ告げた。
「少し、実家へ戻ります」
義母は鼻で笑い、「勝手にしな」と背を向けた。
実家に着くと、両親は私の顔色だけで察した。事情を話すほど、父の拳が震え、母の声が上ずった。
「今すぐ文句を言ってやる!」
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