「この人、ずっと“美しい”の意味を更新し続けてる。」
ふとNHKのまとめページを見て、そう呟いてしまった。柔らかく微笑む若き日の彼女。着物姿で凛と佇む近年の演技。どの時代も、どの瞬間も、“品”がある。そして、“芯”がある。
沢口靖子さん――6月11日にお誕生日を迎えたこの女優は、私たちが想像する「理想の日本女性像」を、40年近く演じ続けてきた存在
だ。
■ 朝ドラ『澪つくし』(1985)から始まった、ヒロインの歴史
今でこそ国民的俳優とされる沢口さんだが、その始まりは1984年、**第1回「東宝シンデレラオーディション」**でのグランプリ受賞。
その翌年、NHK連続テレビ小説『澪つくし』で主役に抜擢され、“おしとやかな中にも意志の強さを持つ女性”というキャラクターを完璧に演じきった。
当時の写真を見ると、まだあどけなさの残る横顔に、どこかすでに「この人は大女優になる」と感じさせる
不思議な説得力があった。
昭和60年代、まだ日本が“古き良き価値観”を保っていた時代。沢口さんの存在は、まさにその象徴だった。
■ 大河ドラマ『秀吉』(1996)で魅せた、成熟の気配
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