ひとりの日本人女性のブログが、アメリカの名門・スタンフォード大学に“永久保存”された。
それは、芸術でも論文でもない。たった一人の女性が、病と向き合いながら綴った日々の記録──小林麻央さんのブログ『KOKORO.』だ。
パジャマ姿に酸素チューブ。それでも、画面の中の彼女は笑っていた。その笑顔の奥には、「生きること」を見つめ続けた強さと、静かな祈りがあった。
彼女はこう書いている。
「ブログという手段で、陰に隠れている自分とお別れしようと決めました。」
それは、“隠さない”という覚悟の言葉だった。
2016年9月、ブログ『KOKORO.』を開設。病名を公表し、治療や痛み、子どもとの時間、日々の小さな喜びを綴った。
「今日も朝日が見られました。」「痛みがない時間に、息子と笑いました。」
──一文一文が短く、やさしく、真っ直ぐ。それなのに、読む人の胸を締めつけるほどの“生”があった。
352本の記事。わずか10ヶ月。けれどそのブログは、日本だけでなく、世界中で数百万回読まれた。
そして2023年。スタンフォード大学の東アジア図書館が、『KOKORO.』を公式アーカイブとして保存することを決定した。
なぜ、ひとりの日本人女性の個人ブログが世界最高峰の大学に選ばれたのか。
選出理由はこう記されている。
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