私が「結論、別れた方がいい」と言い切るのには、理由がある。感情のもつれではない。もっと冷たく、現実的な話だ。――金の話である。そして、名義の話である。
最初の夫とは、同じ県内で暮らしていた。引っ越しが多い生活だったが、当時の私は「家族なら信じるべきだ」と思い込んでいた。今思えば、あれは信頼ではなく、危機管理の放棄だった。
異変は保育園の朝から始まった。子どもを連れて登園するとき、たまたま夫と同じ車になった日があった。私はバッグを車内に置いたまま、子どもを預けに園へ入った。ほんの数分――その隙だった。戻ってきた私は何も気づかなかった。バッグはそこにあり、夫もいつも通りの顔をしていたからだ。
請求書が来ない時点で、疑うべきだったのだろう。だが、請求書が上がってこない以上、こちらは気づきようがない。夫は営業の途中に自宅のポストを確認し、届いた請求書を抜き取っていたのだと思う。私の知らないところで、私のクレジットカードは使われ続けていた。

発覚したのは、私の会社に一本の電話が入った日だった。カード会社からの連絡だった。途端に血の気が引いた。身に覚えのない請求、聞き慣れない店名、積み重なる金額。私はその場で言葉を失い、ただ、受話器を握りしめた。
それだけでは終わらなかった。家の中の貯金箱。子どものためにと少しずつ入れていた硬貨が、ある日不自然に軽かった。底が、綺麗に開けられていたのだ。
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